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これを知れば温泉がもっと楽しくなる!温泉の泉質と適応症(効能)について

みなさんは温泉に入る際、その温泉がどのような泉質で、どのような適応症(効能)があるのかを気にしたことがありますか。今回は気にしたことがない人やもっと詳しく知りたい人に向けて、温泉ソムリエの筆者が温泉の泉質や適応症について解説します。(適応症とは効能のことを指します。)

温泉の泉質

温泉の泉質は全部で10種類あります。泉質の10分類は下記の通りです。

「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」「含よう素泉」

これらは掲示用泉質と呼ばれ、正式な泉質名は「ナトリウムー塩化物泉」「酸性・含硫黄ーカルシウム・ナトリウム・マグネシウムー硫酸塩泉」等のような形になります。(ホテルや温泉施設の脱衣所に掲示されている「温泉分析表」に泉質が記載されています。)

各泉質の特徴と主な温泉地

単純温泉

単純温泉とは含有成分の量が一定値に達していないものを言います。体に優しい成分の薄い温泉のため、刺激が少なく子供からお年寄りまで安心して入れる湯あたりしにくい泉質です。刺激が少ないため脳卒中のリハビリ等に利用され、「脳卒中の湯」「神経痛の湯」とも言われています。

pH値8.5以上をアルカリ性単純温泉、pH値7.5以上を弱アルカリ性単純温泉と言い、(弱)アルカリ性単純温泉には肌の角質を取る美肌効果があります。

主な温泉地は、花巻温泉(岩手県)、鬼怒川温泉(栃木県)、水上温泉(群馬県)、宇奈月温泉(富山県)、上諏訪温泉(長野県)、箱根湯本温泉(神奈川県)、下呂温泉(岐阜県)、修善寺温泉(静岡県)、道後温泉(愛媛県)、由布院温泉(大分県)です。

塩化物泉

塩化物泉は食塩を含み、塩辛く無色透明の湯です。皮膚に付着した塩分が汗の蒸発を防ぐため、保温効果が良く、湯冷めしにくいです。そのため「温まりの湯(熱の湯)」と言われています。また、塩の殺菌効果が傷に効くことから「傷の湯」とも言われています。

飲用することにより、胃腸の消化液の分泌が促進するため、胃腸病や慢性便秘にも効果があります。

主な温泉地は、定山渓温泉(北海道)、秋保温泉(秋田県)、銀山温泉(山形県)、和倉温泉(石川県)、渋温泉(長野県)、熱海温泉(静岡県)、城崎温泉(兵庫県)、有馬温泉(兵庫県)、白浜温泉(和歌山県)、指宿温泉(鹿児島県)です。

炭酸水素塩泉

「カルシウムー炭酸水素塩泉」「マグネシウムー炭酸水素塩泉」は、カルシウム及びマグネシウムイオンによる鎮静効果があります。痙攣、炎症を抑える作用があるため、アレルギー疾患、慢性皮膚病、じんましん等にも効果があります。

「ナトリウムー炭酸水素塩泉」は、皮膚の表面を軟化させる作用があり、皮膚病や火傷、切り傷によいと言われています。皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流すため、石鹸のように皮膚を洗浄します。また、皮膚を滑らかにするツルツル美白効果があるため、美肌の湯(クレンジングの湯)と言われています。

主な温泉地は、東鳴子温泉(宮崎県)、星野温泉(長野県)、福地温泉(岐阜県)、龍神温泉(和歌山県)、嬉野温泉(佐賀県)、別府温泉(大分県)、人吉温泉(熊本県)です。

硫酸塩泉

「カルシウムー硫酸塩泉」は、カルシウムの鎮静効果が高いため、「傷の湯」と言われています。高血圧症、動脈硬化症、脳卒中、慢性関節リウマチに効果があり、打身、切り傷、火傷、痔疾、捻挫にも良いと言われ、皮膚病では乾癬、慢性湿疹、ニキビ、皮膚のかゆみにも良いとされています。

「ナトリウムー硫酸塩泉」は、高血圧症、動脈硬化症、外傷に効果があります。ナトリウム成分による保湿効果で体が温まり、痛みを和らげる鎮静作用もあります。

「マグネシウムー硫酸塩泉」は、上記2つの硫酸塩泉と同じ効果があります。マグネシウム成分を多く含んでいるため、血圧を下げ、痛みを和らげる鎮静作用があります。

主な温泉地は、浅虫温泉(青森県)、遠刈田温泉(宮城県)、東山温泉(福島県)、赤倉温泉(新潟県)、四万温泉(群馬県)、伊香保温泉(群馬県)、水上温泉(群馬県)、山中温泉(石川県)、玉造温泉(島根県)、黒川温泉(熊本県)です。

二酸化炭素泉

二酸化炭素泉は二酸化炭素を含む温泉で、一般に泉温は低いのが特徴です。炭酸ガスが皮膚から吸収されることで、毛細血管が拡張するため、心臓に負担をかけずに血液の循環が良くなり、血圧を下げる特徴があります。そのため「心臓の湯」とも呼ばれています。

主な温泉地は、利尻温泉(北海道)、玉川温泉(秋田県)、花山温泉(和歌山県)、長湯温泉(大分県)です。

含鉄泉

含鉄泉は鉄分を含むため、空気に触れて酸化した茶褐色が特徴です。よく温まるため、リウマチ性疾患、更年期障害、月経障害、冷え性に効果があります。

主な温泉地は、鳴子温泉(宮城県)、毒沢温泉(長野県)、長良川温泉(岐阜県)、有馬温泉(兵庫県)、雲仙温泉(長崎県)、鉄輪温泉(大分県)です。

硫黄泉

硫黄泉は硫化水素ガスの卵が腐ったような匂いがするのが特徴です。硫化水素ガスは痰を出やすくする効果があるため、「痰の湯」と言われ、慢性気管支拡張症等に良いとされています。抹消毛細血管を拡張させるため、動脈硬化症やしもやけにも良いとされています。メラニンを分解することから「シミ予防の湯」「シミ抜きの湯」とも言われています。

硫黄泉には解毒作用があるため、金属中毒や薬物中毒にも利用され、慢性皮膚病、慢性関節リウマチ等にも良いとされています。ただし、皮膚や粘膜の弱い人は湯あたりや皮膚炎を起こしやすいので注意が必要です。

主な温泉地は、登別温泉(北海道)、鶴の湯温泉(秋田県)、那須湯本温泉(栃木県)、燕温泉(新潟県)、越後湯沢温泉(新潟県)、野沢温泉(長野県)、別所温泉(長野県)、白骨温泉(長野県)、祖谷温泉(徳島県)、霧島温泉(鹿児島県)です。

酸性泉

酸性泉はpH値が低く、酸性度の高い温泉です。抗菌力があるため、白癬症、トリコモナス膣炎、疥癬等に効果があり、飲用では低酸・無酸症や低色素性貧血等に利用されます。ただし、酸性泉は刺激が強いため、皮膚の弱い人は湯あたりしやすいので注意が必要です。

主な温泉地は、登別温泉(北海道)、酸ヶ湯温泉(青森県)、蔵王温泉(山形県)、岳温泉(福島県)、草津温泉(群馬県)、万座温泉(群馬県)、塩原温泉郷(栃木県)、雲仙温泉(長崎県)です。

放射能泉

放射能泉は気体の放射性物質「ラドン」を含む温泉です。微量な放射線で体に負荷をかけることにより免疫力が上がると言われています(ホルミシス効果)。腎機能が改善され、鎮静的に作用するため、神経痛、リウマチ、神経麻痺、自律神経過敏状態等に利用されます。また、尿酸を尿から出すため「痛風の湯」とも言われます。ただし、湯あたりを起こしやすいので注意が必要です。

主な温泉地は、村杉温泉(新潟県)、増富ラジウム温泉郷(山梨県)、恵那ラヂウム温泉(岐阜県)、三朝温泉(鳥取県)、熊の川温泉(佐賀県)です。

含よう素泉

含よう素泉はヨウ化物イオンを含む温泉です。よう素の殺菌作用により、コレステロール値を下げたり、動脈硬化症の予防効果があると言われています。ただし、甲状腺機能亢進症の人は飲用が禁忌とされています。

主な温泉地は、強首温泉(秋田県)、大手町温泉(東京都)、白子温泉(千葉県)、新津温泉(新潟県)、瀬長島温泉(沖縄県)です。

各泉質の適応症(効能)

すべての温泉には下記の「一般的適応症」と呼ばれる共通の適応症(効能)があります。

「筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり」「運動麻痺における筋肉のこわばり」「冷え性」「末梢循環障害」「胃腸機能の低下」「軽症高血圧症」「耐糖能異常」「軽い高コレステロール血症」「軽い喘息または杯気腫」「痔の痛み」「自律神経含む温泉不安定症」「ストレスによる諸症状」「病後回復期」「疲労回復」「健康増進」

10種類ある各泉質には、これらの「一般的適応症」とは別に泉質ごとに異なった適応症(効能)があり、それらは「泉質別適応症」と呼ばれます。以降では各泉質の「泉質別適応症」について解説します。

単純温泉

単純温泉特有の適応症(効能)は、「自律神経不安定症」「不眠症」「うつ状態」です。

塩化物泉

塩化物泉特有の適応症(効能)は、「うつ状態」「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」「皮膚乾燥症」です。飲用での適応症は「萎縮性胃炎」「便秘」です。

炭酸水素塩泉

炭酸水素塩泉特有の適応症(効能)は、「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」「皮膚乾燥症」です。飲用での適応症は「耐糖能異常」「高尿酸血症」「胃十二指腸潰瘍」「逆流性食道炎」です。

硫酸塩泉

硫酸塩泉特有の適応症(効能)は、「うつ状態」「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」「皮膚乾燥症」です。飲用での適応症は「便秘」「胆道系機能障害」「高コレステロール血症」です。

二酸化炭素泉

二酸化炭素泉特有の適応症(効能)は、「自律神経不安定症」「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」です。飲用での適応症は「胃腸機能低下」です。

含鉄泉

含鉄泉特有の適応症(効能)は、飲用のみで、「鉄欠乏性貧血」です。

硫黄泉

硫黄泉特有の適応症(効能)は、「末梢循環障害」「アトピー性皮膚炎」「尋常性乾癬」「皮膚化膿症」「慢性湿疹」です。飲用での適応症は「耐糖能異常」「高コレステロール血症」です。

酸性泉

硫黄泉特有の適応症(効能)は、「アトピー性皮膚炎」「尋常性乾癬」「耐糖能異常」「皮膚化膿症」です。

放射能泉

放射能泉特有の適応症(効能)は、「高尿酸血症」「関節リウマチ」「強直性脊髄炎」です。

含よう素泉

含よう素泉特有の適応症(効能)は、飲用のみで、「高コレステロール血症」です。

美人(美肌)の湯について

「美人の湯」とは、肌の表面を溶かす乳化作用によって「ツルツル&美白」になる温泉のことです。「ツルツル&美白」に加えて、泉質によって、保湿効果、血行促進効果、肌の蘇生効果等様々な効果が働きます。

【三大美人泉質】

  • 炭酸水素塩泉(クレンジング効果)
  • 硫酸塩泉(保湿効果、肌の蘇生効果)
  • 硫黄泉(シミ予防効果、アンチエイジング効果)

また、美人の湯に関して、全国の温泉から厳選した「日本三大美人の湯」「日本三大美肌の湯」と呼ばれるものがあります。「日本三大美人の湯」は、川中温泉(群馬県)、龍神温泉(和歌山県)、湯の川温泉(島根県)で、「日本三大美肌の湯」は、嬉野温泉(佐賀県)、斐乃上温泉(島根県)、喜連川温泉(栃木県)です。興味がある方は是非行ってみてください。

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nichi-moni

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